最初はソーシャルレンディングを知らないし、全く興味がなかった
ソーシャルレンディングというものをはじめて知ったのはほんの1ヶ月前の事でした。きっかけは、私が登録しているあるポイントサイトの広告でした。
過去にいろいろな投資をしてきた事のある私ですが、儲かった事もあれば逆に痛い目にあった事もあります。投資はその対象を自分で調べ、考え、判断するので私にとっては面白くもあり、仮想の中で遊ぶゲームよりよっぽど楽しくて勉強にもなる事でした。しかし実際には自分の金を使うのでそんな簡単ではないし、結構大変だったという思いがあります。そして最後に大損を出して以来、よっぽどのことがない限り投資はやめておこうと思いました。
そのような事から最近の投資のトレンドについても知ろうとも思わず、当然ソーシャルレンディングがどのようなものであるかもあまりよくわかっていませんでした。名前からして「個人間の金銭の貸借を仲介するサービス」ぐらいに思っていました。
ソーシャルレンディングを始めるきっかけはポイント目当て
そんな私がある日、会員登録しているポイントサイトを久しぶりに眺めている時でした。ふと目に付いた比較的高いポイント(18,000円相当のポイント)を獲得できる広告をなんとなくクリックしてみたのです。それがソーシャルレンディングを初めて知るきっかけでした。ちなみにサービス名は「みんなのクレジット」です。
その広告には、ソーシャルレンディングがどういうものであるかの説明が書かれている他、ローンファンドであり、10万円からの定額投資可能で高利回り(なんと最大14%以上)、運用期間は1ヶ月~3年、全案件担保付きで、管理手数料なし、などなどメリットがこれでもかと書かれていました。広告なので当たり前ですが。そしてもちろんデメリットも書かれていましたが、たいしたデメリットではないと思える程度にさらっとに記述されていました。
私の場合、元々ソーシャルレンディングをやりたいと思っていたわけでもなく、高ポイントが稼げそうな広告だったので、簡単に登録できてリスクがなく、コストがかからなければ登録してしまおうと思っていました。なので、深く調べることもなく登録してしまいました。ただし、登録しただけではポイントはもらえず、10万円以上の投資をすることが条件でしたので、それも満たすべく比較的運用期間の短い案件に10万円ほど投資しました。そして運用期間が終わって返済があればすぐに終了するつもりでした。
ソーシャルレンディングって、なんかちょっと良さそうな気がする
ポイントサイトで18,000円分のポイントを稼ぐために10万円も使うのはちょっと抵抗がありましたが、欲しくもないものを購入するわけでもなく、FXのようにハイリスクな投資をするわけでもなく、運用期間が過ぎれば利子がついて戻ってくるのですから、そういう意味では悪くないと思いました。おまけにポイントまでつくのです。
私が投資したのは、不動産開発事業への融資と物販会社への融資の2つの案件が組み合わさったファンドで、それぞれ有価証券や在庫商品が担保として保全されており、代表者の連帯保証付きです。また配当利回りは案件ごとに違い、片方は6.5%で片方は14.3%となっていましたが、貸付金の比率は6.5%の方が99%以上なので限りなく6.5%と考えてよいでしょう。
広告に書いてあったように、確かに最大14%以上の配当利回りの案件も含まれていますが、組み合わせによる割合がとてつもなく低く、実質はほぼ利回りの低い方の数字になってしまいます。ですが、それでも銀行の定期預金よりはるかに利率は良く、株や金、FXなどのように元金そのものの価値が日々激しく上下動するものより心臓に悪くなく、穏やかに生活できそうです。
ですがそれより何より「みんなのクレジット」には、利率以上に魅力的なものがありました。それはキャッシュバックキャンペーンです。このキャンペーンは不定期ですが頻繁におこなわれていて、「○○号案件に○○万円以上投資すると○万円キャッシュバック」というものを中心に数種類のキャンペーンがあります。
私の場合、10万の投資に対し、2つのキャンペーンに該当していたので、合計13,000円のキャッシュバックがありました。これは13%の利率に該当します。しかも源泉税を差し引かれることもなく、キャッシュバックなので課税対象にもなりません。しかも期限まで待つことなく一つは4日後に、もう一つのキャッシュバックは投資してから2週間後にみんなのクレジット内の自分の口座に入金されました。これに加えて毎月の配当が支払われるのです。合計すると20%近くの利回りになる計算です。
高配当にキャッシュバック。美味しい話には罠がある・・・かもしれない
でもあまりにも簡単にこんな得する事があっていいのでしょうか?確かに一見投資家側にとっては美味しい話です。ですが、証券や外貨の運用等でなく、あくまでも融資です。投資家側、つまり貸主が20%近くの利率をもらうということは、借主である事業者は一体どれほどの利率で借りるのでしょうか?当然ソーシャルレンディングサービスの業者が利益として中間マージンを上乗せすることになりますから、借主はとてつもない利率で借りることになるのではないでしょうか?
ですが、日本の利息制限法では貸付金額が10万円までは、もらっていい利息の最大利率は20%で、10万円~100万円未満は18%、100万円以上は15%となっています。利回り20%で投資家から集めたお金を利息20%で貸せば利益は当然ありません。ソーシャルレンディングの事業をやる上でかかる必要経費を考えれば明らかなマイナスです。まして多くの案件が数千万の融資であり、その際の最大貸出利率は15%となりますから、それを20%の利回りで借りれば膨大な逆ザヤが生じてしまいます。口座維持費等の管理費や成約料も無料になっていますので、そこでの手数料収入もありません。
みんなのクレジットは一体どうやって利益を出しているのでしょうか?ちょっと心配になりました。違法な利率で借主である事業者へ貸し出しているのでしょうか?それとも融資実績を得る為に当初は利益度外視でキャッシュバック等をおこない、ある程度までいったらキャンペーンをやめるなり減らすなりするのでしょうか?それとも投資家以外(例えば利率の低い銀行等)からも借入をし、そこでの利ザヤで稼いでいるのでしょうか?だとすると何の為にソーシャルレンディングをやっているのでしょうか?今の私の知識ではどうしてもわかりませんでした。
あまりに高利で無理な貸し出しをすれば、借主が返済不能に陥る可能性も出てきます。そうなるとそれは投資家側の損失となります。また、利益を度外視した無理な経営を続ければソーシャルレンディングの事業者自体が経営破たんをする可能性もあります。
投資詐欺?計画倒産?悪い予感が当たらなければいいのですが・・・
そんな事を考えていたら、過去にニュースになった投資詐欺事件の数々が頭をよぎりました。まともな会社を装い、高配当をうたって投資家から金を集めるだけ集めて、最初の数年はちゃんと配当を払い、やがて配当を支払わなくなり、ある時突然連絡もつかなくなって、最後に逮捕されるという・・・いつの時代もほとんど同じパターンで、そして今でも時々同じような事件がニュースで報道されます。当然投資家は金を返せと訴えますが、被告は金を使いきっているか、あるいはどこかに隠しているのかわかりませんが、ほとんど投資家に返ってくることはありません。
私自身だいぶ前に、100万円投資した会社がある時突然配当を払わなくなり、連絡しても「支払いが遅れているだけでちゃんと払います」と回答するだけで一向に支払はなく、しばらくしてその会社が詐欺事件としてニュースで取り上げられていたという経験があります。
私は初期の会員だった為、投資した金額以上の配当を得ていたため特に損失はなかったのですが、後から会員になった方々の多くはかなりの損害を受けていたはずです。中には数千万円もの損害を被った方もいたようです。
また、みんなのクレジットの代表者を調べてみると、いくつもの事業を立ち上げたり売却したり、あるいは計画倒産のようなことをしていました。そして今までの事業が必ずしもうまくいっていたようには思えず、まして金融に精通したキャリアがあるわけでもありませんでした。さらに言うとソーシャルレンディング自体が新しい金融サービスであり、みんなのクレジットは会社の設立は2015年ですがサービス開始は2016年の4月で、この記事を書いている今でもたった8ヶ月しか経っていないのです。資本金も、大きなお金を動かす割に2億円程度で、安心できる株主もいません。そのような背景を考えると、さらに不安にもなりました。
ただだからといってみんなのクレジットが悪徳業者でいざとなったら計画倒産を企てているとは言えません。もしかしたらこのまま順調に伸び、立派な企業になるかもしれませんし、何よりたった10万とは言え私も投資したので、当然うまくいってくれることを望んでいます。
と言うわけで期待半分、不安半分でソーシャルレンディングをスタートしてみました。