どうなるラッキーバンク?行政処分そして新規ファンドの募集停止



ラッキーバンクよ、お前もか!と言いたくなるような出来事でした。

ラッキーバンクのサイトトップページのお知らせ欄に、2月20日、証券取引等監視委員会からの行政処分勧告を受けた事、そして3月2日に業務改善命令という行政処分を受けた事が記載されたのです。

そして勧告を受けた2月20日以降、ファンドの新規募集はありません。

みんなのクレジットで酷い目に遭っている私ですが、代替サービスとして選んだラッキーバンクまで行政処分を受けてしまったのです。

寝耳に水の行政処分

ラッキーバンクに投資はしているものの、いつも注視しているわけではなかった私は、3月6日に届いた「説明会のご連絡」というラッキーバンクからのお知らせメールによって今回の件に気付いたのです。

メールには、ログイン後マイページに入ってメッセージ一覧を見ろ、と書いてあったので、そうしてみました。

すると、一覧に「投資家説明会開催のお知らせ」のメッセージがあったので、目を通してみました。

そしてそこに書いてあった、「今回の行政処分の内容を・・・」との一文が目に飛び込んできました。

行政処分?!

嫌な響きです。

つまりまっとうな経営をしていなかったという事です。

みんなのクレジットの件を考えるとかなり悲観的になりました。

一体どんな指摘を受けたのかを早く知りたかったので、ラッキーバンクのサイトトップページのお知らせ一覧に、勧告についてと行政処分についてが書いてあったので、読んでみました。

がしかし、指摘内容については一切書かれていませんでした。

勧告を受けた旨と、行政処分として業務改善命令を受け、その改善すべき内容が書かれていただけでした。

しかし処分内容が業務停止命令ではなく、業務改善命令だったので少し安堵しました。

指摘された内容がどうであれ、結果として処分があまり重いものでなければそれほど気にする必要もないのではないかと、この時は思っていました。

一方で気になることも2つ浮かんできました。

一つはここのところ期限前返済が多いということ、もうひとつは勧告の日以降、新規ファンドの募集が一切ないことです。

行政処分の事を知る前であれば、これらのことも ”たまたま” と思って気にも留めないのですが、行政処分の事を知った今では、間違いなく関連性があり、あまり重くない処分とはいえ、今後に不安を抱かせる事象です。

電話で状況確認してみる

本当は、今後どうなるのかについて投資家説明会に出て直接質疑応答したかったのですが、日時の都合がつきそうもなかったので電話で問い合わせてみることにしました。

電話をすると、出たのは男性でした。

私が、行政処分の通知を見て問い合わせたという事を伝えたところ、まず決まりきった謝罪から始まり、次にこちらが聞いてもいないのに、指摘内容の説明を始めました。

指摘内容は大きく2つで、2016年に貸付先の審査をする際に、財務諸表に間違った計上があった事を見逃してしまい、2017年になって発見したので、修正したということが1つ目。

もう一つはファンドの担保となる不動産の評価を投資家に示す際に、実際には正式な不動産鑑定書ではないにもかかわらず、不動産鑑定書であるかのように示していた、との事でした。

そして管理部門とコンプライアンス部門を分けて、懸命に業務改善をしているとの事でした。

ここまで聞いた時、私は「なんだ、その程度の事か」と思い、これなら正常化するのは早いのでは、と考えました。

ただ、いつからファンドの新規募集が始まるのか、との問いには「わからない」との事でした。

みんなのクレジットに似た悪質さ

ラッキーバンクの受付担当者から聞いた内容ですっかり安心していた私ですが、その安心感は、本当の内容を知る事で、あっけなく不安感へと変わってしまいました。

ある時、ラッキーバンクの行政処分について書いてあるサイトのいくつかを何気なく閲覧していたら、どうも電話で訊いた内容とは違うという事に気付きました。

正確に言うと、電話で聞いた内容に嘘はないのですが、伝えるべき核心となる事実についてはほとんど、いや全く伝えてくれなかったのでした。

まぁ、このような状況下では当然の事です。自分たちに都合の悪い事を全て話すなんてありえませんので。

貸付先のほとんどは、代表者の親族が経営の会社

みんなのクレジットでは、貸付先のほとんどがみんクレの親会社でしたが、ラッキーバンクは親族が経営する不動産会社への貸付がほとんどだったようです。

つまりどちらも、代表者や親族が経営する会社の資金調達の為だけに作られたいい加減な会社だったということです。

不特定多数の、未来に希望のあるベンチャー企業への貸付などではなく、自分達の為、身内の為の単なる資金調達組織だったわけです。

まっとうな会社であれば銀行からの融資を受けるでしょうし、将来性があれば出資を受ける事も出来るはずです。

でもみんクレやラッキーバンクの貸付先である親会社や関連会社は、融資や出資のどちらも受けることができない、あるいはできたとしても少額しかできないような見込みのない会社だったのです。

みんクレもラッキーバンクも主たる貸付先は不動産事業会社でした。不動産事業には多額の資金が必要です。そして不動産価格が上昇している今のうちに、一気にお金を集め、そして一気に稼いでしまわなければならないという思いがあったのかもしれません。

そこで思いついた悪知恵が、近年定着しつつある資金調達方法としてのソーシャルレンディングです。

それもソーシャルレンディングで資金を調達するのではなく、ソーシャルレンディングサービス会社そのものを自分達で作って、自分達の事業の為の調達機関にしようという目論見だったのでしょう。

そうすることで他の方法よりもはるかに早く、はるかに大きな金額を調達できると考えたのでしょう。

貸付先の審査を巧妙に操作

みんクレは貸付先である親会社の審査はないも同然なほどずさんでした。本来なら融資などできる状態でない親会社に対して融資していたのですから。

ラッキーバンクの場合は、審査は規定通り行っているように見せかけていましたが、貸付先である親族経営の会社の財務諸表を改ざんして審査を通るようにしていました。

証券取引等監視委員会の発表内容には、「利益や資産の水増しを看過した」と書かれていましたが、そんな筈ありません。

貸付先が全くの第三者であるなら見落としという事も考えられますが、みんクレ同様、ラッキーバンクも貸付先とはグルであり、一心同体なのですから、貸付先の財務諸表の改ざんなど簡単な事です。

それにしても、貸付先の財務諸表を改ざんして、審査は規定通りに行うという巧妙さは、相当悪質に思えます。

今後はどうなるのか?

行政処分の内容が業務停止命令ではなかった事で安堵感を覚えた方も多くいるかと思いますが、私個人としてはそれが業務改善命令だけだったからと言ってちっとも安心していません。

確かに過去2回の行政処分を受けながら、現在も順調に業績を伸ばしているクラウドバンク(日本クラウド証券)のような例もあります。

クラウドバンクの場合、1回目は業務停止命令を受けましたが、これは買収した証券会社の古いシステムを使用した事による不備であり、確かにそのまま続けていたら問題が起きていた可能性はありますが、悪質というわけではありませんでした。

そして2回目の行政処分は貸付先情報が違っていた事や、営業報酬の還元をしていなかった事などで、悪意があったのかどうかはわかりませんが、業務改善命令で済んでいます。

立ち直れなかったみんなのクレジット

一方で、みんなのクレジットの様に業務停止命令の他、貸金業の業務停止命令も受け、停止期間後も一向に業務再開の目途が立っていないところもあります。

みんクレは、グループ会社の為の単なる資金調達組織であった為、行政処分で指摘された事項を改善しようものなら、グループ会社への融資もできなくなり、グループ会社の他に貸付先を持っていないみんクレはファンドを組めなくなります。

つまりみんクレの業務再開ができないのは当然の事なのです(このことに最近まで気付かなかった私は、バカみたいにいつまでも業務再開を信じていました)

みんクレ同様、業務改善をしたら運営できない

ラッキーバンクの行政処分は業務改善命令で済みましたが、指摘されたその中身は、悪質だったみんなのクレジットに近いものでした。

もちろんみんなのクレジットは、よりずさんで、より酷かったので業務停止命令になりましたが、逆に言えばラッキーバンクはその辺りを巧妙に装っていたのではないかと思います。

みんなのクレジット同様、ラッキーバンクは親族経営の不動産事業会社の資金調達組織であった為、指摘された業務改善をしようものなら、たちまち経営が立ち行かなくなります。

貸付先の親族経営会社はそもそもまともに資金調達ができない会社なのです。つまりまともな経営状態・財政状況ではないという事です。

ラッキーバンクが業務改善をして、まっとうな審査をしたならば、当然今の貸付先にはもう融資できないということになります。

となると他に融資先がほとんど無いラッキーバンクはどうなるでしょうか?

融資先がなければファンドも組めず、ソーシャルレンディングサービスは終焉に向かうのではないでしょうか。

行政処分の内容には差が出たものの、結局はみんなのクレジットと同じ道を辿るのかもしれません。

ファンドの償還は?新規募集は?

新規募集を再開するには、新たにまともな融資先を見つけなければなりませんが、今までしてこなかった事を急に自力でそれをおこなうのはかなり難しいのではないでしょうか。

どこかと業務提携をするとか、強力なスポンサーを得るなどしてまずは当座をしのぎ、それから再生するという手順が必要かもしれません。

そしてファンドの償還についてですが、ある程度は戻るでしょうが、全額は難しいのではないかと考えています。

融資先はラッキーバンクからの資金調達が断たれ、事業縮小を余儀なくされます。

そして資金繰りは苦しくなり、早く現金化をする必要性に迫られて不動産を安く売る可能性も考えられます。

そうなると予定通りの返済が出来なくなるため、当然償還も全額というわけにはいかなくなるでしょう。

ただ、ラッキーバンクが融資先の親族経営会社に対し、返済の為の調停だの裁判だのと身内同士で茶番劇をやり始めたら終わりです。これはみんなのクレジットが採用した最悪の手口です。

結果として回収不可能との判断で、債権回収会社へ債権譲渡をし、投資家は微々たる償還を受け、大きな損害を被ることになるのです。

みんクレの様にそこまで汚い手を取るとは考えたくないのですが、関係会社の単なる資金調達組織だったという悪質な共通点があるので油断はできません。

「業務再開は絶望のみんなのクレジット。配当も止まり、償還はどうなる?」

私はみんクレを詐欺だと確信していますが、ラッキーバンクに対しては現時点ではそこまでの判断要素はありません。

ですが、まだ処分が出てから日が浅く、この先どのような展開になるかはわかりません。

私としては、みんクレの事もあり、かなり悲観的に考えていますが、それでも200万近い金額を投資しているだけに、最低でも全額償還して欲しいと願っています。