みんなのクレジットが行政処分をうけても何もしなかった理由



証券取引等監視委員会による勧告内容を見たときはやばいと思った

3月24日の夜、寝る前にふとみんクレのサイトを見てみたら、何やらよからぬお知らせが記載されていました。

みんクレが証券取引等監視委員会によって行政処分勧告をされたとのことでした。

突然の事だったので、私は寝る前で眠かったにもかかわらず、それを見てすっかり目が覚めてしまいました。

今まで新規案件はもちろんの事、何かとメールで通知してきたみんクレが、今回のように都合の悪い事はメールによる通知は何もなく、ひっそりと自サイトのお知らせ欄に、しかも読みにくくする為か小さい字で掲載してだけなのです。(そのせいで今回の件はたまたまサイトを見たので気づきましたが、見ていなければもっと遅れていたことでしょう)

それでもまだみんクレのサイトでは投資家を不安にさせないような内容、書き方をしていましたが、証券取引等委員会のサイトで今回の勧告の内容を見ると、これはもう「ひどい」の一言に尽きます。(証券取引等委員会のみんクレに対する勧告内容はこちら

勧告内容は大きく分けて二つ。一つは「重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為」。もう一つは「投資者保護上問題が認められる状況」です。

このうち、一つ目の「誤解を生ぜしめるべき表示」については、本当にそれだけの事であれば事務的に改善できるものであり、良くない事ではありますが、深刻な内容ではありませんでしたので、特に心配はしませんでした。

問題は二つ目の「投資者保護上問題が認められる状況」についてです。これはもう本当に悪質です。このような悪質な内容であるが故に、正確な表示が出来ず、一つ目の「誤解を生ぜしめるべき表示」をしてしまったのではないかと思います。

みんクレのやり口はかなり悪質

何しろ集めた出資金の使途に嘘があったのですから、それをそのまま表示できるはずもありません。情報不足とか誤解を招く表現とかいうレベルではないのです。

ファンドの償還資金やキャッシュバックキャンペーンの資金に、投資家から集めた新たなファンドへの出資金を充当していたということは、新たなファンドの為の資金はどこから集めるのでしょうか?次のファンドへの出資金から充当するのでしょうか?だとするとこれはもう完全に自転車操業であり、財務内容は相当まずい状況であると簡単にわかります。

どうりで直近の案件が、やけに運用期間が長く募集金額が大きく利回りが高めだったわけです。支払いの為にとにかくお金を集めなければいけなかったのです。でもその集めたお金もファンドの出資金なのですから当該ファンドの為の金額が足りなくなるのでまた次の出資金で補充するという、まさに悪循環であり、破滅への道を順調に歩んでいたわけです。

ただ、普通の商売ならそれもアリでしょう。お金を当初の予定とは違う目的に使っていたとしても、また、苦しい時期に自転車操業をしていたとしても誰も文句は言いません。もしかすると一発逆転で好転するかもしれませんし。ですが、使途を明確にしてファンドの出資を募り、預かったお金をきちんと運用することを生業としているみんなのクレジットがそれをやったら完全にアウトです。

そしてもっとひどいのは、ファンドの出資金を本来の目的である貸付金に使用せず、代表者の債務の支払いやグループ会社の増資に使っていたというのです。これはもう本当に悪質です。勘違いや不備とは明らかに違いますし、財政状況の悪化により仕方なくおこなう自転車操業とも違います。

むしろ財政状況を悪化させるような行為であり、その為に勧告内容の最後に記述されている「ファンドからの借入れを返済することが困難な財務の状況」に陥らせている大きな要因と言えるのではないでしょうか?

だとするとこれはもう、行政処分で済むようなことではないように思えます。業務上横領罪や特別背任罪に該当するのではないでしょうか?もちろん起訴や告訴されなければそうならないでしょうが。

慌てて動く前に、少し冷静になり、処分が決まるまで様子を見ることにする

いろいろな事が頭の中を駆け巡った行政処分勧告でしたが、ネットでいろいろ調べてみると、3月末頃に実際の処分が下されるのではないかとの事でしたので、慌てて動く前に、少し冷静になって、どうするかを考えることにしました。

その時点で私がみんクレに投入した金額は580万円。その内運用中の金額は535万円。そして払い戻し可能残高はキャッシュバックや配当で増えたこともあり、約95万円でした。

行政処分が行われるまでの間にすることとして考えられる方策は三つ。一つは、すぐに払い戻し可能残高全額を引き出す。二つ目はまだ募集している案件に投入する。三つ目はそのまま何もせず様子を見る。

そして判断をする為には、ある程度行政処分の結末を予測しなければなりません。

過去にソーシャルレンディングで行政処分を受けたクラウドバンク(処分時は日本クラウド証券)の勧告内容と処分内容を見た上で、今回のみんなのクレジットの処分内容を予測してみると、どう考えてもクラウドバンクのケースより軽い処分にはならないだろうと思いました。まして処分なしと言う事は考えられません。

であれば考えられるケースは三つ。一つはクラウドバンク同様の処分。ただこれは、クラウドバンクに比べてみんクレは悪質なので期待薄と考えました。二つ目はクラウドバンクより重い処分。そして三つ目は金融商品取引業の登録取り消し処分です。

もちろん一番あって欲しくないし、あってはならないのは三つ目の金融商品取引業の登録取り消し処分です。もしそうなったら目も当てられません。運用中の資金だけでなく、現在払い戻し可能な金額も、つまり投入資金全てがパーになる可能性もあるのです。

そう考えると、少なくとも損失を最小限に抑える為にも払い戻し可能残高分は引き出してしまった方が賢明です。払い戻しが出来るにもかかわらずに放っておいて95万もの金額を失うとしたらそれはバカとしか言いようがありません。

しかしながら、みんクレのサイトで各案件の募集状況を見ていると、行政処分勧告が出されて以降も相変わらず投資している人が増えており、金額が増え続けていたのです。このような現象を目にして私は少し迷いました。

投資を続けている人たちも行政処分の勧告について知らないわけがありません。メールでの通知がなかったとしても、みんクレのサイトのお知らせの欄に記載されているので、投資をする際にはサイトにアクセスしなければならず、アクセスすれば必ず目につくはずなのです。

にも拘わらず投資金額が増えている・・・もしかしたらこの状況を理解できていない人がたくさんいるのでしょうか?あるいはクラウドバンクの例と同じ程度であると考えているからでしょうか?それとも投資家を安心させるための、みんクレ社員達による自作自演でしょうか?

結局考えてもわかりませんでしたが、次第に金融商品取引業の登録取り消し処分はないのではないかと思うようになりました。それは現在募集されている案件の投資金額が増え続けていることも要因の一つではありますが、みんクレがサービスを開始してからまだ一年も経っていないということも、そう思うようになった要因です。

過去の投資詐欺事件や、詐欺ではないものの投資家に損害を与えた経営破綻などは、ほとんどが数年から数十年かかって、もうどうにもならなくなって発覚するのがほとんどなのですが、今回の件はまだ一年も経っていません。内容は悪質ではあるものの、やり直しがきく程度なのではないかと思いました。これがサービス開始後数年経った後だったら取り返しがつかないほどの規模になっていたのではないかと思います。

それに、もしこんなに早く登録取り消し処分をしたとしたら、登録を認めた関東財務局の責任問題にも及ぶ可能性があります。そうならない為にも登録取り消し処分以外の処分にするのではないかというのが私の予想でした。もちろん希望的観測でもありますが。

考えた挙句、とりあえず保留することにした

金融商品取引業の登録取り消し処分はないと判断した私は、払い戻し可能残高を引き出すことなくそのままにしておくことにしました。あとはその金額を募集中の案件に投資するかしないかの判断だけです。

募集中の案件は比較的配当利回りも良く、キャッシュバックもありました。欲にとらわれた私は、投資したい気持ちもかなりありましたが、一方で、登録取り消し処分はないとしても、それ以外の重い処分の場合、投資金額が凍結されてしまう場合もあるのではないかと考えました。そうなると、投資金額が消失することはなくても償還期限が延期されてしまうかもしれません。あるいは、全額の償還ではなく、減額されてしまうケースも考えられます。

そう考えると、そこまでして投資する勇気は出ませんでしたので、払い戻し可能額を引き出すこともなく、また案件に投資することもせず、保留のままなにもしないことにしました。

もちろん最悪のケースとなる場合もありますが、そうなった時はそうなった時で諦めよう、と覚悟を決めました。つまりこの時点では、処分期間が終わればまたみんクレで投資をしようと考えていたのです。

私は今まで、企業の不祥事や経営不振等を数多く見てきましたが、大きく改善して危機を脱した企業は以前より格段に良くなるケースが結構ありました。私は以前行っていた株式投資でそのような企業に投資してかなり儲けたケースがいくつもありました。もちろんうまくいったケースばかりではなく、そのまま沈没してしまう企業も多々あり、どっちに転ぶかを予測することは困難です。

しかしながら今回は、既に投資してしまっているという事もあり、みんクレが処分明けには改善して強くなってくれることを期待して、処分明けにすぐに資金を投入できるよう、払い戻し可能額をそのままにしておくことにしたのです。払い戻しには振込手数料がかかることや、払い戻してまた入金して、という作業が面倒だったということも少しは影響していますが。

意外にも軽かった行政処分

3月30日になり、ついにみんなのクレジットに行政処分が下されました。

その処分は、要約すると、4月29日まで新規会員、新規ファンドの募集停止というもの。配当の支払いやファンドの償還は今まで通り行うとの事。

正直驚きました。想像以上に処分が軽かったのです。3ヶ月の停止処分を受けたクラウドバンクよりはるかに悪質で、財務状況も良くないはずのみんクレが、たったの1ヶ月の処分で済んでしまったのです。一体どういう基準で処分が決まったのでしょうか。まったくもって謎です。

しかしながら一方で安堵した事も事実です。何より投資したお金が無事であり、そしてまた1ヶ月後にはみんクレで投資を再開できるのですから。

みんクレは処分明けにどのような案件で、どのようなシステムで再開するのか楽しみでした。キャッシュバックキャンペーンの自粛などにより以前より投資家の利益は減るでしょうが、より健全になり、投資家へ安心感を与える内容になっているに違いないと期待していました。その時までは・・・