「調整お見舞金」の罠:テイクオーバーホールディングスが提示した恐ろしい同意確認書の狙い



突然の「調整お見舞金」の支払表明から12日後の3月26日、予告通りテイクオーバーホールディングス社のホームページに申請フォームが登場しました。世にも恐ろしい同意確認書付きで。

訴訟を極端に嫌がっているT社なので、「今後訴訟をしない事」を条件にするであろうことは予想していましたが、予想をはるかに上回る悪質な内容でしたので、もう笑うしかありませんでした。

友人の弁護士に読んだ感想を聞いたら、「よくある巧妙な詐欺の手口」「まるで経済ヤクザ」と言っていました。そして本当の目的は誓約をとって訴訟をさせない事じゃないか、とも言ってました。

私は、訴訟さえしなければある程度損失を補填してもらえるかもしれないという淡い期待も少し抱いていたのですが、同意確認書のあまりの酷さに、完全に同意の意思は無くなりました。

同意できない理由

支払いの申請をするにあたって個人情報を提出させ、T社やみんクレに不利になることをしないと確約させるにもかかわらず、支払う事に関しては一切確約しないというヤクザのようなやり方には、空いた口が塞がりません。

そこで、私がこの不条理な同意確認書に同意できない理由を挙げてみたいと思います。

支払う約束をしていない

「調整お見舞金」の原資は、T社株主やスポンサーから提供される金員や、T社グループが今後営業を続けることにより得た利益等であり、現在のT社グループの資産からお支払いするものではなく、原資となる金員の金額や調達できる時期については予測がつき難いこと

つまり、これから支払原資を作ると言っています。

もし株主やスポンサーから提供される金員が予定通り集まらなかったり、T社が利益をあげられなかったら支払わないという事です。

投資家に不利な確約をさせ、「調整お見舞金」の申請だけさせておいて、いざとなったら「思ったようにお金が集まりませんでした」とか「利益をあげられなかった」と言って支払わないという事は、今までの彼らのやり方からすれば十分に考えられます。

お支払いの時期やお支払いの額、お支払いの方法等を事前に定める等してお約束するものではなく、また、投資損失相当額満額のお支払いを保証するものではなく、あくまで、投資損失相当額を上限とし・・・

支払原資をこれから作ると言っているのですから、支払時期や金額を約束できないのは当然と言えば当然です。

ですが、これでは同意など到底できません。ある程度の時期や、最低支払金額の明示でもあれば一考する価値はあるかもしれませんが、期待だけさせて何の約束もせず、投資家にのみ確約させるのは、まるで詐欺師の手口と一緒です。

「調整お見舞金」の支払われる時期、支払われる額、支払われる方法につき、何らの異議・不服を申し立てることはできず、また、T社グループは何らの異議・不服を受け付けないこと

「調整お見舞金」は、支払対象者が裁判所に訴えの提起等をすることができる性質のものではなく、お望みの額や投資損失相当額満額を支払われない場合であっても、裁判上請求することはできず、これらが支払われないことをもってT社グループ及び特別目的会社が何らの責任を負うわけではないこと

つまり、「調整お見舞金」は損害賠償などではなく、あくまでもT社が好意で行うものなので、支払義務はないのだから、払わなくても文句は言うな、ということです。

確かに形式的にはそうでしょう。投資家から金を集めたのはみんクレであり、T社は元親会社とは言え、今は別会社になっていますので、直接投資家に返済する義務などありません。

さらに、既に債権譲渡も済まされ、T社のみんクレに対する債務もなくなっています。

ですがそもそも投資家を騙して違法に集めた金なのです。

みんクレが詐欺的手法で集めた金がT社及びその関連会社に流れているのです。

そしてみんクレはT社及びその関連会社の為の資金調達組織なのですから法的に別会社にしたところで白石氏の一味であることには変わりありません。

なので、投資家がT社に対して請求したくなるのは当然なのです。

それなのに、まるで好意で支払うかのようなポーズをとるのは笑止千万です。

「調整お見舞金」のお支払いの方法として、T社株主やスポンサー、T社グループの業績等の事情により、日本円に限らず、米ドル等の外国通貨、仮想通貨があり得ること

なぜ外国通貨なのでしょう?外国通貨の口座がない場合、どうやって受け取るのでしょうか?なぜ日本円に交換してから支払わないのでしょうか?為替手数料を支払いたくないからでしょうか?どうも解せません。

さらに仮想通貨による支払いの場合もあるとあります。仮想通貨の口座がない人は作らなければならないのでしょうか?外国通貨同様、日本円に交換してから支払えばいいだけの話だと思いますが、あえてそうしないのは何故でしょうか?

新たな事業として仮想通貨の取引所でも設立し、「調整お見舞金」申請者をその取引所の会員にしてしまおうという魂胆なのかと勘繰ってしまいます。

あるいは新たな仮想通貨を発行し、その普及の為に「調整お見舞金」申請者を利用しようと目論んでいるのかもしれません。

奇想天外な発想に思えるかもしれませんが、彼らならやりかねません。

もちろんどんな事業でも今まで同様失敗するでしょうし、それに伴って新たな犠牲者が生まれることも容易に予想できます。

追記:白石氏の父と兄がホワイトストーンコインというほとんど価値のない仮想通貨を発行していました(ICO)。この自分たちの無価値の仮想通貨で支払おうという目論見なのでしょうか?ちなみに新しい仮想通貨のICOはほとんど詐欺のようなものらしいです。

あり得ない恐怖の誓約

T社は同意確認書の「表明保証」として、申請者に対しあり得ない誓約を求めています。

そしてこれこそがT社の目的です。この誓約をさせる為に「調整お見舞金」というエサをまいているのです。

私は現在、みんクレ社に対する投資に関連して、いかなる者(みんクレ社含む。)に対しても調停、訴えの提起その他民事刑事問わず法的手続を採っておらず、今後も同様の手続を行いません。また、これらの手続を行う権利を、法的根拠の如何を問わず、放棄します

今後訴訟を起こさない旨の条件をつけるだろうということは予想していましたが、「いかなる者(みんクレ社含む。)」とするとは思っていませんでした。

つまり、「調整お見舞金」が支払われなくても訴えるな、それもT社やみんクレだけでなく、関連会社(白石氏一味の会社)全てに対してという事です。

全く同意できません。「損害額相当が支払われたならば」という条件がつくならまだわかります。ですが、支払うという約束もしていない相手に何故こんな誓約をする必要があるのでしょうか?

しかもこの一回の誓約で、全ての関連会社に対する訴訟の芽を摘んでしまおうという魂胆です。

ですが、なぜここにみんクレも含まれるのでしょうか?みんクレとT社は調停をしたり裁判をしたり、みんクレの債権譲渡に納得できずに「調整お見舞金」を支払うと言ったりして、まるで敵対する別会社を装っておきながら、ここではみんクレの分まで訴訟の芽を摘んであげようとしているのです。

みんクレとT社がグルなのは、もう誰もがわかっていることですが、彼らはそれでも今まではあくまでも別会社として振る舞い続けていました。それなのにここでこんな矛盾するような内容を記載するなんて、とんだ間抜けです。

私は、本件に関する一切の事項につき、今後、ブログ、SNSその他方法を問わず家族・親戚・第三者に一切口外しないことを約束し、家族・親戚その他関係者が第三者に対して口外させないことを約束します

私はたびたびこのブログでみんクレを糾弾しているので、この時点で申請できないことになります。もちろん記事の削除もするつもりはありません。

しかしながら「調整お見舞金」をエサとした恐ろしい口封じです。

「家族や親戚にも話すな」なんてまるで言論統制・情報統制された共産圏の独裁国家のようです。あるいはどこかの諜報機関の規律のようです。

こんな恐ろしい誓約をさせるなんて、現代の日本で許されるのでしょうか?

もし、この表明保証条項に反した場合には、支払対象者としての地位を当然に失い、T社に対し、その時点までに既に受け取っていた「調整お見舞金」相当額を返還し、かつ、それに加え、違約金として、投資損失相当額の倍額をお支払いします。また、この表明保証条項に反することにより、T社グループに実際に生じた損害が投資損失相当額の倍額を上回った場合には、実際に生じた損害の賠償をもお支払いします

完全に脅迫です。完全に悪徳業者がやる手口です。

この文面だけを見れば単なる規約違反に対する損害賠償請求にも見えますが、そもそもその規約(表明保証条項)自体、特にこのような件で家族・第三者へ一切口外しないなどということは無効ではないかと思います。

「調整お見舞金」といういかにも慈善的なエサで釣り、自分たちの悪事に対して訴えない、口外しないという誓約をさせ、それを破ったら莫大な損害賠償を支払え、というのは尊大であり、脅しです。

しかも自分たちは「調整お見舞金」を支払うとは一切約束しないという悪徳さ。

私としては、このようなあり得ない誓約に同意することなど、どう考えてもできません。

考えられる今後のシナリオ

私は、みんなのクレジット及び白石氏がこれまでずっとシナリオに沿った出来レースを演じてきたことを書いてきました。

もちろん今回のこの「調整お見舞金」も現在進行形のシナリオの一部である事は言うまでもありません。

では今後彼らはどのようなシナリオを描いているのでしょうか?

ここから先はあくまでも推測ですが、各方面の意見を聞いた上で考えをまとめたものであり、十分にあり得る事です。

「調整お見舞金」の本当の狙い

「調整お見舞金」の目的は、調停や訴訟をさせない為であることは明らかであり、その手段として「調整お見舞金」を支払う事ではなく、支払うと見せかけて理不尽な誓約をさせる事です。

思い切り理不尽な内容に作られた同意確認書に、多くの投資家は申請をためらうでしょうが、それでも中にはその理不尽さに気付かずに申請してしまう方もいるでしょう。

あるいは、理不尽さに気付いていたとしても、少しでもお金が戻ってくるならという思いで申請する方もいるでしょう。

そこが彼らの狙いです。

投資家にとって極めて理不尽で、白石氏一味にとってかなり有利な内容であるが故、同意確認書に承諾する投資家が少ない事は彼らも十分わかっているのです。

でも申請者がゼロではない事も見込んでいます。そしてここが重要なのです。

つまり、最初の手である今回の「調整お見舞金」の申請者はゼロではない事、そして多くない事が狙いです。

投資家の意見を分断させる

彼らは今回の「調整お見舞金」の少ない申請者に対し、シナリオ通り支払いを実行すると思います。

時期も比較的早めで、金額もある程度満足いく金額にするかもしれません。

何故なら、今回の申請者達を自分たちのアピールに利用する為です。

その為には少ない申請者で十分なのです。逆に多くなりすぎるとその多くの申請者を満足させるだけの資金を調達できずに困ってしまうからです。

そして彼らは支払いを実行した事を大いにアピールします。あるいは支払いを受けた人たちが自らアピールするかもしれません。

するとどうなるでしょう?多くの人は「T社はちゃんと支払ってくれるんだ」と思い、申請しなかった人たちは「申請しておけば良かった」と思うようになるかもしれません。

こうなるともう彼らの思うツボです。

いろんなブログなどを読んで申請を踏みとどまった人たちは、後悔と同時に、申請しなかった要因となる情報に対して怒りさえ覚えるかもしれません。

一方でT社に対しては少なからず信用が芽生えてしまうでしょう。

こうして白石氏一味に対して反感一辺倒だった投資家達の意見を分断することができるのです。これは集団訴訟になったときに、その威力を弱める効果があります。

「調整お見舞金」の次の手

ただ、これでみんクレ及びT社グループが安心できる訳ではありません。彼らにとって「調整お見舞金」は苦し紛れに提示した訳でもなく、唐突に提示した訳でもありません。当然道義的責任感からでもなく、情的なものからでもありません。

あくまでも用意周到に練られたシナリオの一部であり、自分たちがいかに痛手が少なく逃げ切れるかをち密に計算した上で編み出した方法なのです。

ですので、この程度で終了というわけではないでしょう。

初回の「調整お見舞金」による影響や効果を十分見極めた上でタイミングを見計らって次の手を打ってくるはずです。何しろ彼らは詐欺のプロなのですから。

そしてあるタイミングで、例えば「調整お見舞金」の第2弾が発表されたらどうでしょう。

初回に申請しなかった事を後悔した投資家達は飛びつくように申請するのではないでしょうか。それも、初回よりもずっと理不尽な条件さえも受け入れて。

そしてその時の申請者は初回よりずっと多くなるはずです。

もうおわかりでしょう。これでかなりの投資家達による訴訟リスクを減らすことができるのです。

そして残念ながら2回目の「調整お見舞金」の場合は支払われないでしょう。何しろ支払う約束は一切しないのですから文句は言えません。

支払いは初回の少数の申請者に対してだけなのです。それは初回の「調整お見舞金」は、2回目に多くの申請者を得る為のエサだから支払うのですが、2回目にはもう必要ないので支払われないのです。

こうして自分たちに攻撃できないよう誓約をとった多くの申請者を得る事に成功するのです。

こうなると、数が多い方が力を持つ集団訴訟などをしようとしても、威力はかなり弱まってしまうことになります。

そうして彼らは生き延びるのです。最終的に訴訟で争うか、和解するかはわかりませんが、いずれにしろ傷は最小限に抑えられることになるのです。

しかしながら、もし本当にこのような事をした場合、まったくヤクザのやり口と同じです。素人から違法にギャンブルで金を巻き上げる時、ヤクザは最初は素人に勝たせて安心させ、やる気を持たせ、その後とことん金を巻き上げた挙句、途中で降りる事を許してくれません。そして素人は訴える事もできず泣き寝入りすることになるのです。

白石氏一味はプロの詐欺集団であることは間違いありませんが、今回の同意確認書の内容や予想できる彼らのシナリオを考えてみると、経済ヤクザでもあると言えます。

あくまでもこれらのシナリオは私の推測にすぎないのですが、全く同じ手を使うかどうかは別として、これからも必ず何かしらの罠を仕掛けるはずです。