みんクレの債権譲渡とテイクオーバーホールディングスの「調整お見舞金」の茶番劇



みんなのクレジットが予定通り債権譲渡をしたと思ったら、貸付先のテイクオーバーホールディングスが「調整お見舞金」を支払うと発表し、さらにその後みんクレがそれを否定するという、仲間と共に懸命に考えたシナリオに沿って、相変わらずの茶番劇が続いています。

もはやここまでくるとあまりの滑稽さに笑いがこみ上げてきます。

予定通りの債権譲渡

みんなのクレジットは、業務停止命令後、この債権譲渡に行きつくというシナリオを書き、1年かけてそれを実行していたのだと思います。

そしてこの後は、いかにダメージを少なくして会社を清算するかを考えているのではないでしょうか。

いきなり破綻したのでは、計画倒産を疑われるし、投資家も大騒ぎをしてしまい、大規模な訴訟に発展してしまいます。

そうならないよう、懸命に債権回収の努力をしているフリをし、時間を稼ぎ、少しずつ投資家が諦めの気持ちになる事を狙っていたのでしょう。

とは言え、みんクレも融資先も、全て白石氏の支配下の、いわば身内ですので、両者で書いたシナリオを忠実に進めるという、茶番劇を演じていただけなのです。

でなければ、あれだけの金額の調停が3回で終わるわけがありません。と言うか、そもそも調停の場所が東京簡易裁判所であるということは、本気で争う気などなかったのです。

当事者同士の話があらかじめついているから簡易裁判所での調停だったのであり、それも予定通り決裂し、しかも3回という短さで終わっています。

その後、東京地裁でようやく訴訟となりますが、茶番劇などではなく本気であれば最初から地裁で争っていたはずです。

つまりは単に努力しているというポーズと時間稼ぎをしていたというわけです。

そして予定通りの債権譲渡。しかもわずか3%で。融資先の担保や保証、保全率など全く無意味なものになってしまったのです。

債権の譲渡先はどこなのか明らかにされていませんが、ここも白石氏の息のかかったサービサーなのではないかと疑っています。

こうして投資家を騙して集めた金をまんまと自分たちのものにできたわけです。

裁判所の裁定に従って債権譲渡をしたのだから違法ではないと思っているのでしょう。

そして、これで全て償還を終えたと主張できると思っているのでしょう。

後は、着々と会社の清算を進めればいいと思っているのでしょう。

彼らは今まで何度も会社を作っては潰し、同じような事をしてきたのです。

まさに法を熟知した、プロの詐欺集団と言えるのではないでしょうか。

シナリオに狂いが生じたのか?

裁判所の裁定に従って債権譲渡をし、合法的に債務を消したつもりだった彼らは、後はそれでも諦めてくれなかったうるさい投資家に何とか対処しつつ、みんクレを清算して全てを終えようとしていたのでしょう。

そもそも、みんクレが融資先に対して本気で債権回収などするわけないのです。融資先も身内であり、債権回収などしようものなら投資家に償還しなくてはなりません。投資家に償還すれば自分たちの取り分が減るので、そんな気はさらさらないのです。いかに償還しないで済むかをひたすら考え、ひたすら実行したにすぎません。

そしてここまでは順調に悪だくみを進めていた白石氏一味ですが、ある程度予想していた投資家の訴訟圧力が想定以上に大きかったようです。

このままでは逃げ切れないと思ったのか、主たる融資先で白石氏が代表のテイクオーバーホールディングス社が3月14日、突然、みんクレで損失を被った投資家に対し「調整お見舞金」を支払う旨を同社のホームページで発表しました。

そしてそのすぐ後に、みんクレがメール及びホームページ上で、テイクオーバーホールディングス社の発表は「当社とは関係ない」旨を通知しています。

私はそのみんクレのメールで「調整お見舞金」の事をはじめて知りました。

それにしても笑ってしまいます。T社は金が返せないからみんクレが債権譲渡に踏み切ったはずなのに、何故支払うお金があるのでしょうか?

その矛盾を突かれるのを恐れたみんクレは、メールで懸命に説明していましたが、T社もみんクレもグルなのにもっともらしい事が書いてあったので、読んでいて笑ってしまいました。

T社はT社で、金がなかったのではなく、分割払いをみんクレが拒否した結果、意に反して債権譲渡されてしまったと説明しています。

確かにみんクレから送られてきた調停の過程を記載したメールには、T社は長期分割払いを望んでいる旨が書かれていましたが、何故みんクレはそれを拒否してまで債権譲渡に踏み切ったのでしょうか?

たった3%で債権を譲渡するくらいなら、分割払いの方がよっぽど多く返還できるはずです。

にもかかわらず債権譲渡をしたのは、みんクレの会社清算を早くするためと、自分たちの取り分を多くする為としか考えられません。

長期分割返済にすれば、みんくれの清算時期も遅れ、投資家へ返済する額も多くなり、すなわち自分たちの取り分が減ってしまうのです。

そうならない為にはさっさと格安で債権譲渡をしてしまうのが一番なのです。

とは言え、調停でT社側が長期分割返済を申し出たという事は、計画がすんなりいかなかった場合の次善策の布石として最初からシナリオに含まれていた可能性があります。もしそうだとすると、恐ろしいほど用意周到で悪質な詐欺行為だと言えます。

つまり、うまくいけば債権譲渡をした後、会社清算をして終わり。でも投資家が想像以上に強く出てきた場合、その逃げ道として最初からみんクレとT社の主張を分けておき、いざとなったらT社が主張していた事を持ち出して、自分たちの取り分よりも訴訟圧力の軽減を優先させるという策を実行するというものです。

T社が唐突に「調整お見舞金」を持ち出すと、その支払い原資はあるのかと疑いがかけられます。ですので、あらかじめ調停においてはT社の主張として、長期分割であれば支払いは可能である旨を表明しておくのです。

そうすれば、債権譲渡に対して投資家が反発した場合、T社は「みんクレが勝手に債権譲渡しただけで、我々は「調整お見舞金」を支払いますよ」と、ぬけぬけと言えるのです。

調整お見舞金は受け取るべきか?

テイクオーバーホールディングス社が提示した「調整お見舞金」ですが、果たして受け取った方が良いのでしょうか?それとも受け取らない方が良いのでしょうか?

この件に関しては、迷っている投資家の方も多いのではないでしょうか?

ホームページには「全投資家に対して投資損失相当額を支給する」と書かれていますが、もしそれが本当であり、きちんと実行される保証があるならば、もう何も言う事はありません。

ですが、彼らはプロの詐欺集団です。裏に何が隠れているかわかりません。

その一端が見て取れるのが、支払いの条件として「訴訟・紛争の提起の取り下げ」を挙げていることです。

訴訟や紛争をとても嫌がっている事と、既にかなりの訴訟による圧力がかかっているのが読み取れますが、このような事から推測するに、支払いをするにあたっては今後訴訟をしないという条件を付けてくる可能性があります。

もしそのような条件をつけてきた場合は危険です。

損失額を全て支払ってくれるのであれば、そもそも訴訟など誰もしようとするはずがありません。(お金の損失がなくなっても、彼らの悪事に対しての刑事訴訟はそれでも起きるかもしれませんが)

「今後訴訟を起こさない」という条件をつけるということは、すぐには全額の支払いはせず、分割で少しづつ支払い、ある程度支払いをしたところでストップするという可能性もあります。

もしそうなっても、訴訟を起こすことはできません。

最初は期待値を高く持たせておいて、徐々に内容を変え、気付いてみると当初に比べて随分と内容が悪くなっているというのは、詐欺の常套手段です。

当初の約束から変わったとしても、約束を守るための努力を続けている姿勢を見せ、だましているのではないと思わせようとするのです。

そしてそもそもT社の返済義務は元々はみんクレに対してであり、現在は債権譲渡先であるサービサーに対してなのです。投資家に対しては法的には直接義務などないのです。

「調整お見舞金」は彼らにとってあくまでも好意であり、義務ではないと主張できます。ですので、途中で支払いの内容が変わったり、停止したりしても文句は言われないと思っているのでしょう。

なので、彼らにとって迷惑な訴訟をする者に対しては「支払わない」と言っても責められないと考えているのかもしれません。

こう考えてみると、「調整お見舞金」を支払う条件として今後訴訟をしないという誓約を求められた場合は、よほどその内容を注意して確認してから判断しないといけないと思います。

一方で、そのような条件をつけたという事は、白石氏が刑事訴訟でかなり追い詰められているという可能性もあります。

既に詐欺罪での訴えもあるようですし、逮捕される可能性もあります。

今まではみんクレは投資家に対し、償還の可能性の期待を抱かせ、努力のポーズを続け、時間稼ぎをしていたので、警察や検察も動くことなく、また大きな訴訟にも発展しませんでした。

しかしながら、債権譲渡をして損失が確定する事で白石氏らが想定していた以上に投資家が怒り、一気に訴訟が増えたので、次善の策としてシナリオに書かれていた「調整お見舞金」の支払いと言う事になったという可能性もあります。

そのような場合は、とにかく訴訟を避けたいという思いから、今後訴訟をしないという条件をつける場合もあります。

多くの投資家が「調整お見舞金」欲しさに、今後訴訟を起こさない旨を誓約してしまった場合、集団訴訟を起こそうとした場合の威力を弱める可能性もあります。つまり投資家の分断をはかるというわけです。

今のところ全て憶測でしかありませんが、私はどのような条件で「調整お見舞金」の支払いが行われるのかをよく見てから受け取るか受け取らないかを判断したいと思います。