ノミバエとの闘い – その4 コバエはやっかいなノミバエだった



さらなる対策を講じてみる

引っ越してから3年目の春がやってきましたが、去年懸命に闘ったコバエの事などまだ考えていませんでした。しかししだいに暖かくなってきた6月上旬、テーブルの上に止まっている一匹のコバエを見て昨年の悪夢を思い出しました。またうっとうしいコバエの季節がやってくるのです。今年こそはきちんと対策をして無益なコバエとの闘いをしないようにと思いました。

今年は電撃殺虫器やハエ取り棒が最初から準備されています。でも昨年はそれらだけでは完全に駆逐はできなかったという思いが私を不安にさせました。もっと効果的な対策を考えなくては・・・

そう思い、新たにコバエ専用の殺虫剤・忌避剤を購入してみることにしました。これまでの経験から、ワンプッシュ式で部屋の隅々まで広がるといううたい文句のコバエ用殺虫剤は私の家に発生するコバエには効かないことがわかっています。ハエ・蚊用の殺虫剤は一番発生するキッチンまわりではあまり使用できない上、使いすぎると人体にも悪影響があります。そこでホームセンターで見つけた、キッチン回りでも使用可能な天然成分由来でスプレー式の殺虫剤兼忌避剤を買ってみることにしました。

買ったのは「コバエこないアースキッチン用」です。殺虫と虫よけ、発生予防に効くとの事です。何故なのか理由はわかりませが使用上の注意には、「飛んでいるコバエには噴射しないでください」と書いてありました。

コバエが大発生する前のまだ少ない今のうちに試してみようと思い、早速使用してみました。虫よけの効果を狙ってキッチンのシンクに、ゴミ箱まわりに、調理台やテーブルに噴きかけてしばらく様子をみてみました。

結果は・・・残念ながら期待を裏切るものとなってしまいました。なんとコバエは噴きかけたところに平然とやってきたのです。そしてそれどころか我が物顔で歩き回っていたのです。

その後も何度か試してみましたが、一向に効果が見られませんでした。悲しい事に、買って早々に無駄なものとなってしまったと思いました。でもその後、テーブルの上でうるさく走り回っているコバエに至近距離からひと噴きしてみると、なんと一瞬で動きが止まり、飛び立つことができなくなったコバエは必死に、でもゆっくりともがいていました。それをティッシュで拭きとり、ゴミ箱にポイしました。

もしかしたらこういう使い方は有効かもしれない。それにこれは天然由来成分だからキッチンまわりにも使える!

そう思ってそれ以降は、このタイプの殺虫剤・忌避剤は、どこかに止まったり走り回ったりしているコバエに至近距離から直接拭きかけ、ティッシュで処理するという方法で使うことにしました。これはこれで、叩き潰す方法より効率的で衛生的なので良い使い方だと思いました。

使い方は限定的とはいえ、コバエとの闘いにおける武器が一つ増えたような気がして、ちょっと気が楽になった気がしました。

そうこうしているうちに夏になり、本格的なコバエとの闘いが始まるのでした。

暑くなり、コバエの大繁殖期に入ると、それはもう闘いでした。ハエ取り棒はキッチンまわりに3つセットし、毎日電撃殺虫器をセットし、コバエを目にすれば天然由来成分の殺虫剤で退治するという、今ある武器を使って精一杯コバエ駆除を行いました。

そして新たにハエ取り棒と同様の効果が期待でき、形態だけが違うハエ取りリボンとハエ取りシートを買ったりもしました。

それなのにコバエが減らない・・・

なのに・・・なのにです。コバエは一向に減りませんでした。むしろ去年より多いくらいです。コバエ退治用の武器は確かに効果をみせています。毎日毎日たくさんのコバエを捕まえてくれます。そして毎日毎日、天然由来成分の殺虫剤を使って何匹も退治しています。それなのに一向に減らないのです。もし何も対策をしていなかったら、一体どうなっていた事か。想像するだけで恐ろしい事です。

何がいけないのだろう?どうすればいいのだろう?答えを見つけるため、またネットで調べてみました。これまでよりもずっと注意深く、そして執念深く。

するとある事に気が付いたのです。それはコバエにも種類があって、今までコバエとはショウジョウバエの事だとばかり思っていたのですが、他にノミバエだのチョウバエだのキノコバエだのがあるという事です。

チョウバエは何となくわかります。今の我が家では見たことがありませんが、他の場所で何度か見たことがある、飛ぶのが遅く、羽の大きめなコバエです。キノコバエはもしかしたら見た事があるかもしれませんが、記憶にはなく、私にとっては身近ではなく、当然我が家のコバエとは種類が違うようです。

我が家のコバエはショウジョウバエではなかった

我が家のコバエはというと、そう、ノミバエだったのです!ノミバエ?何それ?初めて知りました。

とても小さく、素早く飛び回り、素早く走り回るのがノミバエの特徴で、まさに我が家で発生しているコバエと特徴が一致しています。眼の赤いショウジョウバエとは特徴が違いました。

我が家のコバエがノミバエだとわかった事で、さらにいろいろと調べてみました。すると何と、ネット上のコバエ対策の大半はショウジョウバエ用のものであり、市販の殺虫剤もショウジョウバエ向けのものがほとんどでした。

私が購入したコバエ用の殺虫剤や誘引剤を利用したトラップ(コバエがホイホイの様な)はショウジョウバエ向けで、ショウジョウバエに効く成分やショウジョウバエが好む香りが含まれており、めんつゆトラップなどの自作のトラップもショウジョウバエには有効のようです。

しかしながら、ショウジョウバエとノミバエは好みが違うので、市販の誘引剤やめんつゆ等ではノミバエは誘引されないのです。

市販の殺虫剤や誘引剤を含んだトラップ、忌避剤等の注意書き等をよく見ると、ノミバエにも有効であるかのように書いてあるものもありますが、書かれている順序はほとんどショウジョウバエよりも後に書かれています。加工食品等のパッケージに書かれている使用食材は使用量が多い順に書かれています。最初に書かれたものがもっとも多く使用され、最後に書かれているのは使用量はほんのわずかだったりします。それと同様に、ショウジョウバエより後に書かれているという事は、ショウジョウバエに対してよりも効果は少ない、あるいは効くこともあるという程度だということです。

どうりで効果がないわけです。もっと早く知っていれば無駄な買い物もせずに済んだのに、と思いました。しかし一方で、何故ノミバエ専用あるいはノミバエに一番効くというような殺虫剤や忌避剤等が少ないのでしょうか?少ないどころか、今まで見た事がありません。

調べてみると理由がなんとなくわかったような気がします。

なんとノミバエは殺虫剤に強く、一般の汎用的な殺虫剤に使用されているピレスロイド系の殺虫成分には耐性があるようなのです。なのできっとノミバエ専用にするには違う成分が必要になり、費用対効果を考えるとメーカー側も割に合わないと考えたのかもしれません。また、一般の汎用的な殺虫剤や誘引剤等にノミバエ用の成分を含めると割高になって商売を考えた場合、はずした方がいいとの判断かもしれません。つまり他の害虫に比べると、飲食店等は別として一般家庭におけるノミバエに対する需要は少ないのかもしれません。あくまでも勝手な憶測にすぎませんが。

そしてもっと調べると、どうやらコーヒーの香りには誘引されるようです。以前、飲み残しのコーヒーの中にノミバエがたくさん浮かんでいたのも理由がわかりました。ノミバエが卵を産み付ける「ヒアリ」という蟻の仲間が出すフェロモンの香りとコーヒーの香りが似ているとの事です。

ただ、ノミバエの事がわかったところで、駆除できなければ意味はありません。まだ我が家の中でノミバエは飛び回っているのです。でも、いろいろとわかった事をやっていけば、高価な業務用の駆除剤や駆除器など買わなくても退治できそうな気がしてきました。

ノミバエ対策(特徴・駆除・予防方法)